Chocolate Time キャラクターと語る

エッセイ集

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007.オノマトペ(擬音語)

ケンジとマユミ
ケンジとマユミ

「マ、マユ、マユっ! イ、イくっ! うううっ!」

 ケンジは身体を硬直させた。

 彼のペニスの先端から勢いよく白い液が発射され始めた。びゅびゅっ!びゅくっ!びゅくびゅくっ。

「すごいすごい! ケン兄、いっぱい出てるよ! 握っててびくんびくんしてるのがわかる。すごーい!」

 マユミはケンジの背後に立ち、背中にその豊かな乳房を押し付けながら彼の大きく脈動しているペニスを握りしめていた。

 

 「オノマトペ」というのは「擬声語」と訳されているフランス語(onomatopée)で、擬声語は擬態語と擬音語を合わせたもの。

 

  • 擬態語(状態や感情など、音がしないものを表す語「まったり」「し~ん」「しっとり」etc.)
  • 擬音語(物が発する音を表す語「びゅくっ」「パンパン」「ゆさゆさ」etc.)

 

 アダルト小説のセックスシーンに使われるオノマトペは、独特で、しかし個人による受け取り方で微妙に意味合いが変わるものです。

 

 例えば「射精」。僕は発射する、勢いよく飛ぶ、という時には「びゅびゅっ!」とか「どびゅっ!」などの表現を使います。量が少ないときは「ぴゅっ」「ぴゅるっ」。身体の中から出る、ということを表したい時は「びゅるっ」「びゅくっ」。勢いが弱まってくれば「どくっ」「どくん」「びくん」。最後の方では「どろっ」「どろり」「どく……」。

 精液を出す射精という反射、最初は強く、押し出す、噴き出すという感じですが、回数を重ねるごとにそれは弱まっていきます。また、若い時は強力ですが経年変化により弱まる。その夜最初のセックスでは強く、二回戦、三回戦となるにつれて弱くなる。

 だからいつも「びゅくっ!」ではないわけです。オトコにとっては思いっきり実感できると思いますが、女性は永遠に体験できないことですから、なおさらこういう言葉の使い方には慎重にならなければいけません。

 「挿入」の場合、お互いたっぷり濡れてて普通に始めるときは「ぬるり」「ぬるっ」「にゅるり」、勢いをつけると「ぐぐっ」「ずん」、それにレイプ的な香りをつけて「ずぶり」「ずにゅっ」。

 BL小説などで。指をアヌスに入れるとき「つぷっ」と表現されることもありますね。細いモノを小さな所に入れる感じがして、なかなか秀逸なオノマトペだと思います。

 

 「ピストン運動」。オーソドックスなところで「ずんずん」「ずこずこ」「ぱこぱこ」「ぱんぱん」。僕自身はこういう擬音語はあまり使いません。まあ「ずんずん」はわかるとしても「ぱこぱこ」という表現は今ひとつピンとこない。「ぱんぱん」などは、出し入れそのものを表すと言うより、バックで挿入して相手のお尻と自分の太股が当たる音、ですね。

 

 「おっぱいが揺れる」。「ゆさゆさ」「ゆらゆら」「たぷたぷ」。どれも比較的大きな乳房を想像させますね。「ぷるんぷるん」だと多少小さな場合でも使えるかも。

 

 「真っ最中」。「ぎしぎし」、これはベッドが軋む音。「はあはあ」、もちろん喘ぎ声。「ぐっぐっ」、頑張っているオトコの呻き声。

 愛し合っている二人が出す声、いってみましょう。

 人は、性的に感じてくるといろんな声を出します。もちろんそれには温度差もあるし、男女差もあります。

 まだ理性が働いている時は「あん……」。だんだん興奮してきて「ああ……」「あっ」。クライマックスが近い「んあああっ」「きゃああっ」。このあたりは女性的です。オトコの場合、女性ほど「その時」にあまり声を出さないみたいですが(僕は遠慮なく喘ぐ。セックス中はとても騒々しいです)、始めは「う……」「うっ」。乳首を触られたりペニスを咥えられたりしました、「ううっ」「うぐっ」。いよいよクライマックスです、「んああっ」。イく瞬間、「くっ!」「ぐううっ!」

 

 さて、かなり重要なのが「エクスクラメーション・マーク」(「ビックリマーク」「感嘆符」「雨だれ」)。そう、これです。

 

 

 この符号や点々(これです「……」)、促音(「っ」)などを使い分けることで、その時の興奮度合いを変化させることができるのは常識です。

 「ああ」と「ああ……」では状況が違います。点々がつくと、ため息交じり、って感じがしますね。「ああ!」となると、声も大きく、眉間に皺が寄っている。

 「イく……」は放心状態からのクライマックス、「イく!」はまさに絶頂感を感じます。「イくっ!」となればもう気持ち良さ最高ですね(笑)。感嘆符を増やせばその度合いも上がります。「イくっ!!」「イくうーっ!!!」。

ケンジとマユミ
ケンジとマユミ

「マ、マユ、マユっ! イ、イくっ!うううっ!」

 ケンジは身体を硬直させた。

 彼のペニスの先端から勢いよくマユミの体内に白い液が発射され始めた。びゅるるっ!びゅくっ!びゅくびゅくっ。

「すごいすごい! ケン兄、いっぱい出てるよ!中でびくんびくんしてるのがわかる。すごーい!」

 マユミはケンジと繋がったまま、射精の反射の度に何度も脈動するペニスの感触を味わった。

 

「マユー」

「なあに? ケン兄。」

「今のエッチ、俺だけがんばって、俺だけイっちゃったみたいなんだけど……」

「あたしもちゃんと感じてたよ」

「それにしちゃ、俺のイくとこ、何だか冷静に観察してたみたいだったぞ。それに、ほとんど汗もかいてないし……」

「ケン兄がイく瞬間、あらためて見て、とっても愛しいって思っちゃった」マユミは顔を赤らめた。「今度はちゃんとあたしもなりふり構わずイくから、もう一回やって」

「よしっ! わかった。いくぞ、マユ」

「うんっ!」

 

 

2013,3,31 Simpson